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フランスの印象主義の作曲家には、古代への関心が見て取れるわけだけれど、題材的にも、まるでオペラの原点に帰るような、そんな雰囲気もあるかもしれない。

作りはフォーレの作品の中では重厚。少し資料をめくってみると、フォーレのオペラ「ペネロープ」は、1913年3月4日にモナコで初演された後、シャンゼリゼ劇場で、パリ初演を迎え、大成功を収めた。この5月10日という日。ストラヴィンスキーのバレエ音楽「春の祭典」が初演される19日前のことだった。

リヒャルト・シュトラウスの楽劇「ばらの騎士」の初演(1911)が2年前、シェーンベルクの「月に憑かれたピエロ」の初演(1912)が前年。ホルストは、その翌年から組曲「惑星」(1914〜16)の作曲に取り掛かり、3年後、レスピーギはローマ三部作の1作目、交響詩「ローマの噴水」(1916)を完成させる。さらに見ると4年後、プッチーニは歌劇「つばめ」を初演(1917)、5年後、バルトークは『青ひげ公の城』を初演(1918)していた。時代の転換点を思わせる様々な作品に彩られていた。

そうした時代の作品のひとつをここで聴く。循環動機の使用等、ワーグナーの影響が現れている。ワーグナー流の重厚さがしっかりと土台を造り、いつものフォーレとは一味違う聴き応えをもたらしてくれる。

また使われた循環動機のうちのいくつかは、他の作品でも使用されているし、序曲の深く、ロマンティックな表情は、より直接的にワーグナーの楽劇を思い起こさせるが、ワーグナーの亜流ではない。

ワーグナーをきっちりと自身の芸術性に取り込んで、新たな形も示しており。ワーグナーの進化系としてフランスの印象主義を繰り出して来るあたりが、思い掛けなく魅惑的。